Characters

登場人物とこの店のこと

ヨナカ電器に出てくる三人の紹介と、この店が何も売らない理由。登場人物は架空であり、記事の執筆・監修は編集部が行っています。

ヨナカ電器について

駅から離れた商店街の角にあった町の電器店です。店主が高齢になり、数年前に畳みました。 シャッターは下りたまま。ですが夜になると、なぜか灯りがついています。

冷蔵庫が止まった夜、洗濯機がエラーで動かない夜、エアコンが効かない熱帯夜。 困った人が、なぜかその前を通りかかります。カウンターの上には、壊れた一台が置かれます。

  1. この店は何も売りません。修理も請け負いません。見立てるだけです。
  2. トウさんは「捨てろ」と言いません。「あと何年使えるか」を言います。
  3. ミリは測れるものしか言いません。測れないことはナオが言います。
  4. 危ないときは、見立てをやめて止めます。三つの問いより安全が先です。
  5. 店は夜しか開きません。答えを出すのは店ではなく、朝の持ち主です。

三つの声

ひとりの専門家が答えを出す形にしていません。惜しむ声、数える声、読み方を示す声。 三つが並んではじめて、迷いは決められる形になります。

  • 見立て

    トウさん

    ヨナカ電器の元店主。76歳。店はもう畳んでいて、何も売らない。だから正直に言える。

    この人を動かしているもの
    現役時代、売上のために買い替えを勧めた記憶が残っている。その後ろめたさが、いまの正直さの動力になっている。もう何も売らない立場になって、やっと本当のことが言えるようになったと思っている。
    記事での役割
    三つの問いを立てる。数字の読み方を示す。決め方を持ち主へ返す。
    • 「何年目だい」
    • 「音、聞かせて」
    • 「部品は訊いたかい」
    • 「まだ使える、は答えじゃない」
    • 「直すのも、買い替えるのも、どっちも正解だよ。決めたのが自分ならな」
  • 不安

    ナオ

    30代半ば。家計の判断をする側。「まだ使えるのに」と言ってしまう人。

    この人を動かしているもの
    物を見捨てる感覚が苦手で、同時に損もしたくない。だから決められない。業者に言われるままになるのが怖くて、逆に見積もりを取るのを先延ばしにする。
    記事での役割
    測れないものを持ち込む。予算がない、引っ越し予定がある、親からもらった、子どもが生まれる——数字に乗らない事情はすべてナオが言う。
    • 「え、そんなに?」
    • 「でも、まだ動くんですよ」
    • 「ほんとに買い替えなきゃだめですか」
  • 数字

    ミリ

    カウンターの端に置かれた古いアナログテスター。喋る。針が振れて数字を出す。

    この人を動かしているもの
    測れることしか言えない、という制約がそのまま誠実さになっている。なぜ喋るのかは作中で説明しない。
    記事での役割
    平均使用年数・部品保有期間・修理費・電気代差・リサイクル料金を提示する。すべて一次情報台帳のエントリに紐づく。
    • 「……揺れてる。それ、確認してない数字だ」
    • 「測れない」
    • 「保有期間、あと1年」